「雌」/長谷川智子
 

―幾年も思い浮かべる蓮の根を身篭りたいの貴方のだから


「ランティルディ」を纏う真夜中
ひねた顔した満月
薄汚れた監視カメラに写るほのかな人影
部屋の中でキー置く音が響く
すかさず口にもってく煙草
それをゆるりと遠のけ口を塞ぐ
噛んで含めるアレ
触って吸えるコレ
からだのすみずみが艶めく煌めく
体のなかの稜線が溶ける感覚
そこまできてる

しまりのない寝顔を見るたび
こいつので身篭りたい
とみに想う
その頭を抱きながら
まことに無責任な劣情でメルト
やっぱあたしくるくるぱーだ
懲りてないや
愛なんてどこにあるんだかわかんない
けどこの子は可愛い
だれにも渡したくないくらいに

(相手がうたたねさんなら良かったと思う午前3時)



   グループ"「mind & body」series."
   Point(8)