風のオマージュ その1/みつべえ
す。この作品は1942年以前、すなわち黒田三郎が20歳前後に書いたものらしく、後年のあの明らかなスタイル、平明な生活詩とは装いがちがいます。それだけに戦後、彼が何を捨てざるを得なかったのか、見てとることができるかも。
ともあれ目前の1篇の詩は私(読者)が愉しむためにあり、ことさら作者の履歴まで動員して読む必要はないでしょう。1人の読者(私)はただそこに記された言葉という標識を読み解きながら、ひとつの見慣れぬ風景に、新鮮な未知の世界に無心に分け入るのみ。そしてそのささやかな感想文は、私が愛した詩と詩人たちへの敬慕の表明、ファンレター以上のものではありません。
というわけで、まずは1連目。
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