生きるを切り取る/木屋 亞万
 
地下にある本屋
立ち読みした雑誌
一枚の写真
そっと感性の膜を開いて
アフリカの荒野を
胸に差し入れてくれた

ピンクのフラミンゴ
湖を染めている
見たことのない風景
フラミンゴの大きさも
体温も羽ばたく音も
知らない、わからない
わからないけれど

写真を入り口に
アフリカが、広がった
残念ながら私の中にだけ
心の奥にある小さな
本当に小さなトンネルを
抜けたら広がる、私の
世界はアフリカになった

今までに
風景の迫力、緊張感を
枠組みに詰め込もうと
したことがある人なら
わかるかもしれない
目の前の生きた風景を
まだ見たことのない人に
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