ダイヤ乱夢/木屋 亞万
雨の降る日、電車が遅れて
まだアナウンスを聞いていないあなたは
いつものように向かいのホームにいる
今日はそのホームじゃないと
隣であなたの友人が叫ぶ
あなたはこちらを見た
雨の向こう側
あなたが友人を見る視界に
私は入ることができただろうか
屋根があるところには
雨は降らないと思っていた幼少期
好きな人ができたら
いつか知り合えると信じていた青年期
あなたは向かいの階段に消え
手前の階段から現れる
こちらに歩み寄り
友達と合流する
妙な執着は迷惑だろうから、私は
通学の時間を合わせるだけ、にした
耳元のイヤホンでは音楽が空回り
雨は止む
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