剛虎橋/1486 106
飛脚の往来で賑わう剛虎橋
靴磨き屋の師匠とその弟子
生活のために各地を旅しては
争いごとに首を突っ込む
剣の腕なら二人とも一流
仁義を貫き悪党を退治してきた
どこからか流れてきた風の噂
人さらいが横行しているらしい
師匠に深入りするなと言われた弟子は
一人独自に調査を進めた
浮かび上がったのは問屋の大旦那
若い女子を異国へ売り飛ばしているらしい
日が暮れるのを待って弟子は屋敷へと忍び込んだ
それが罠であるとも知らずに
雇われた剣客に胸を斬られ
血を吹き出して倒れこんだ
薄れゆく意識の中で浮かんだ言葉は侍魂
最後の力を振り絞って剣を振り上げた
号外の驚きが飛び交う剛虎橋
靴磨き屋の師匠は仕事に精を出す
傍らには勿論勇敢な弟子
傷口がまだ痛むと笑いながら言っていた
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