コーヒーカップ/
しろう
猫舌というのは生まれつきではないらしいのだが
ホットコーヒーは冷めて薫りが抜けた頃に飲み始めて
たとえば電車で網棚にバッグを置き忘れないために
心の片隅に重さをにじませておく程度に
飲み干してしまわないようにわずかばかり残す
マイ・カップにはそのラインが幾重にもこびり付いていて
知足という物差しの目盛りになっている
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グループ"七行詩"
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