■千羽鶴/千波 一也
 
そうに
紙袋からそれを取り出したおまえのことを
わたしはいまでも覚えている


「ごめんね、
 病院では飾れないの。

 でも、きれいね。

 せっかくだから
 お家に飾っておいてちょうだい。」


 わたしの母はとっても喜んで
 また、とっても残念そうに
 そう言った


わたしの母は
その後、無事に退院をして、
後遺症はあるけれど
元気にしている

そうして
寝室の隅には
おまえのくれた千羽鶴が
いまも飾られている

色とりどりの
昔のままで



わたしとおまえは
どこで間違えてしまったのだろう

後悔ではないけれど、
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