完成せぬまま/餅月兎
ジョギングの
夜明けに自販機の前で放心する
「青春投入口」
ポケットから青春を取り出し
入れる
カショカショと飲み込む
ボタンのランプが寂しく灯り
押すと
びっくりするくらいの大音でジュースが一本
電光掲示板ではスロットが回り始める
はずれた
機械が喋った 愛想よく事務的な口調で
「ありがとうございました」
ジュースを取り出す
「いえ、どういたしまして」
歩きながら飲み始める
ぼくは爽やかに老けていった
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