完成せぬまま/餅月兎
 
ジョギングの
夜明けに自販機の前で放心する

「青春投入口」

ポケットから青春を取り出し
入れる
カショカショと飲み込む
ボタンのランプが寂しく灯り
押すと
びっくりするくらいの大音でジュースが一本
電光掲示板ではスロットが回り始める
はずれた
機械が喋った 愛想よく事務的な口調で

「ありがとうございました」

ジュースを取り出す

「いえ、どういたしまして」

歩きながら飲み始める
ぼくは爽やかに老けていった

  グループ"■ 現代詩フォーラム詩集 2008 ■"
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