カモノハシのパンセ4/佐々宝砂
い。見通しが暗いのもしょうがない。そんなこと嘆いても意味がない。なんでわかってくれないの?と訴えたって効果はない。私はただ目を見開いて、いま目の前にあるものをひとつずつ理解しようとする。春盛りの私の庭には、シャガが咲き、タンポポの綿毛が飛び、誰がなんといったって私は天人唐草と呼ぶことにしている青い小さな花が咲き、明るい空には白い太陽がペカァと光っているから星は見えない、でも夜になればまた星が見えるだろう。手が届かないとしても、私たちがそこに行き着かないとしても、私たちの目にはまた星がうつるだろう。
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