夏の朝に似ている/たりぽん(大理 奔)
汗ばむいつもの朝
あの夏の積乱雲
輝く輪郭に隠された
いくつかの胸騒ぎ
終わるのでも始まるのでもない
そんなめまいだけの朝に
散りばめられた笑顔の
なんと残酷なことだろう
いらだつ夏は
ぐるぐるとまわるだけの
病の床のぬるい氷まくら
思い出せない夢の熱量が
ただただそらに積み上がり
いつか
音速で激しくそらを割り
季節は還ってゆく
それはまばゆい夏の
あの胸騒ぎ
昨日を凍らせる冬が来て
そのまま雪が覆いつくしたなら
誰も見なかっただろう景色
だけど夏
何もかもが似ている
終わるわけでもなく
始まるわけでもない
そんなめまいだけの朝に
のどが渇く
のどが渇く
それだけが夏
奪われずにあるものが
笑顔のように
散りばめられて
安っぽい拡声器から
いつもとかわらぬ
祈りが聞こえる
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