きっと、別の呼び名で/たりぽん(大理 奔)
人は
同じ世界に住んでいることを
木々の揺らめきに感じたりする
それがほんとうのことであっても
正しいかどうかはわからない
つまり、カレンダーが秒針に支配されても
日めくりの千切れない部分の厚さを一年と呼び
夜通し動かないと信じた星も
数万年後には違う場所にいるということ
星の寄せる海岸で
毎日夕日を眺める老犬は
帰らぬ主人を待つ毎日を繰り返してはいるが
それを寂しい、と呼ぶのは僕たちだけで
ジロウには永遠の幸福な時間で
その時間には
きっと別の呼び名があるのだろう
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