アポロ・シンドローム/たりぽん(大理 奔)
僕の暗がりに
三十四回目の月が生まれ変わる
前世も月だ、その前世も
それを証明するために
この手は螢石をみがく
やがて銀河の形の指輪を飾るために
暗がりの天蓋がひと巡りする
シリンダーを交換したので
星のピンは春の風を弾き始める
生まれ変わる、それは
ひととき消えること
鋭く研がれたナイフの先で
水滴がはじけるということ
僕の胸のあたりで
三十四回目の水滴がはじける
指輪は螢石だ、ただひとつの
次の天蓋が用意される
それを証明するために
研ぐ、ナイフ
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