私的星座、運行表/たりぽん(大理 奔)
薄曇りの空がからだを湿らせるだけの
ちっぽけな夜だから追いかけてみる
西の地平に月
最後に沈んだ
星の名を知らない、と
静かに胸に沈めた備忘録
この体は赤道儀だ
星の運行を模したのではなく
はっ、絶対座標っ
ありえないと言いながら
時間が不可逆だと思いこんでいる
そんなメトロノームだ
暦は同じ場所に戻っても
戻らない
そんなものに名をつけてしまう
いつだって記憶は
おもいでも支配して
呼んでみろ
失ったものの、なまえを
からだを湿らせるだけの
ちっぽけなくらやみに
星は消え入って
2005-06-22 自由詩投稿「私的星座時刻表」改稿
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