gospel/板谷みきょう
その人のことは
もう誰も憶えていないはず
ただ
命を覗いただけなのだから
仲の良かったのは昔
忘れて行くのが
当たり前
もう未練は無いのだし
互いの心
見える振りしただけのこと
ポケット一杯に膨らませた
中身は
色とりどりの薬の玉
一つ
一つ
口にほおばり込みながら
石狩街道を
海に向かって歩き始めたのさ
あれからのことだって
皆は口をつぐむだけ
もう
空の向こうにあるものだから
つながりは
切れてしまった
知っているだけの素振り
今
風の吹く先だって
勿論
見せかけだけのこと
ポケット一杯に膨らませた
中身は
色とりどりの薬の玉
一つ
一つ
口にほおばり込みながら
石狩街道を
海に向かって歩き始めたのさ
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