すすき野原で見た狐/板谷みきょう
 
夕陽が沈んだその後に 
酒にうかれて千鳥足
月の明かりで見つけたものは 
娘に化けてる いたずら狐

星の降るような空の下 
木の葉を頭に宙返り
なかなか娘に化けきれず 
くるりくるくる いたずら狐

野原の細道 座り込み 
徳利片手にちびちびり
酒の肴にするはずが 
いつしか歯痒く励ます身

何処かひとつを化け残し 
木の葉を変えては くるくるり

徳利が空になった頃 
みごと狐は娘の姿
やっとのことで娘の姿 
ふと こぼした穏やかな笑顔

そのいたいけな娘の仕草 
我を忘れて立ち上がる
月の光に照らされて 
それに気付いた いたずら狐

汗にまみれた顔赤らめ 
ペロリ舌だし すすきに消える
我に返って追ってはみたが 
何故だかそこには かんざし一つ

すすき野原で見た狐 誰ぞ所在を存ぜぬか

すすき野原で見た狐 誰ぞ所在を存ぜぬか

※すすき野原で見た狐
https://www.youtube.com/watch?v=6eb4cmRe0hE

   グループ"弾き語る歌(うた)の詩(うた)"
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