春の海/板谷みきょう
 
海は碧く澄んで うらら 波音閑か 
かもめの声 空に溶けてた
水面に浮かび渡る漁り舟に 
風は遥か遠く高く
波は白く光り 海は蒼く深く広く
かもめ黄昏祈り 
月を探して 鳴いているのか 
鳴いていたのか 春の海で

陽は沈み 
波に 兎 朧月夜のにじむ月 
逆巻く波間の彼方に跳ねて 
漂い弾け 
寄せては返す幾千幾万 
明かゝる月夜に兎跳ぶ 
縦横無尽に 吹く風に 
飛ばされる 鴎は 
潮風夜風に放浪いよろけて海の果て迄
大波小波に 奔る兎 
帰るに帰れぬ 月明かり追い駆けて
待ちわび焦がれた月の兎

月追い求むる波間の兎

白い かもめ 荒波越えて空高く 
翼濡らして 別れを惜しむ 
しののめの明けゆく夜に雲は流れて
空は白々と白み始める

海は碧く澄んで うらら 波音閑か 
かもめの声 空に溶けてた
   グループ"弾き語る歌(うた)の詩(うた)"
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