二十歳に書いた歌詞 /板谷みきょう
が音をたてていた
車も時々しか通らなくて
広い世界に唯独りの様な気がして
三十円で買ったミルキーを
口に入れた
金も無いくせに「一緒になろう。」 って
真面目に言った頃思い出し
「考えておく。」 ってふざけて答えて
はぐらかされた頃思い出し
目醒めたのは明け方で
ポケットの中の結婚式の招待状は
折れ曲がってた
灰色に近い空の青さの中に
見過ごしてしまいそうな
白い月が貼り付いていた
体のあちこちが痛かったけど
帰る気はしなかった
そこから僕は当ても無く
アスファルトの坂道を歩き出し
何台もの車に追い越されながら
思いがひとつ
このまま死ねるものなら
死にたかった
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