オマエ鴎でオレ鴉/板谷みきょう
波の囁き夢ゆらし
消えてしまうと知りながら
両の羽でそっと抱いて夜を越えれば
辿り着く揺らめく光
それだけが燃える翼の奥で
いつまでも
いつまでも
海に鴎は月を浮かべる
影は遠ざかり風に溶け
何も掴めぬ羽ばたきでも
行く先に夢だけを見て夜の片隅
ひとりきり沈む光
それだけを映す心の中に
そこだけに
そこだけに
黄昏カラスは月へ向かう
やがて朝焼け夢を映して
滲む空には月も消え
鴎は風に身を任せ
鴉は光を探しながら
夜が明ければ影を引いて
鴎と鴉どこへ飛ぶ
どこまでも
どこまでも
それぞれの空遠く彼方へ
夢を映す波間に揺らめく光求めて
見えない月を浮かべて
傷つく度に風を知るオマエ鴎
静かに燃ゆる光に惹かれ月に向かい
迷いながら届かない空で
藻掻く旅に空を知るオレ鴉
次 グループ"弾き語る歌(うた)の詩(うた)"
編 削 Point(3)