カナブン(百蟲譜33)/
佐々宝砂
ぶちあたる。
とにかくぶちあたる。
光ってはいるけれど
安っぽい弾丸。
蛍光灯の傘にぶつかる。
窓にぶつかる。
壁にぶつかる。
いちいち音を立てる。
緑金色の背中は
あれでなかなか
綺麗なんだけどねえ。
実害は何もないんだが
うるさいから追い出す。
私は静かに詩を書きたい。
(未完詩集『百蟲譜』より)
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