クマゼミ(百蟲譜50)/
佐々宝砂
早起きに過ぎる。
セミのくせに早起きに過ぎる。
年寄りみたいに早起きだ。
それとも年寄りなんだろか。
夜勤が明けて、
眩しい日射しが鬱陶しくてたまらない朝、
それでも眠らなくちゃならない朝、
クマゼミの鳴き声はあんまりつらい。
しゃんしゃんしゃん!
何を煽ってんですか。
しゃんしゃんしゃん!
それとも合いの手ですか。
クマゼミくん、
お願いだから休ませとくれ。
未完詩集「百蟲譜」より
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