小詩集【レトロな猛毒】side.B/千波 一也
通うこと、
ただそれだけが季節のしるし
あそびの裾はめぐる水
誘われてさらわれて
濡らされて
漂わせ
いやしはいつも静かにくずれる
ゆるやかにちぎれる、
約束のとき
果実のための果実はどこに
もてあそばれる鉄を
ささえる皮膚は
あまりに脆く
涙から、
なみだから遠い国は
見つからない
それでいい
弔いははじめから
枯れてしまうなかに在るのだろう
見渡せば、
よくよくながれて
すべてはすべてを待ち
焦がれている
五、笹舟
折り目もただしくつゆにのせ
負われ、
終われぬ
いのりをはこ
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