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あおば
ではあの男なんのために
提灯も持たずに急ぐのか
灰色の脳細胞を働かす
名探偵
エルキュール・ポアロ氏
仕立屋の店の真ん中で
髭の先をなぜながら
推理する
お茶の時間に
うっかりと
油断して
吹き出して
付けてしまった
上着の袖のチョコレート
目立たない小さな汚れ
の
染みを抜くために
アイロンを借りようと
立ち寄ったまで
それ以上の仔細には
立ち入らない主義の
ポアロ氏は
人の良い顔をして
困ったような笑顔を
何処に向けたらよいのか
思案する
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