小詩集【レトロな猛毒】side.A/千波 一也
 
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一、そそり上手


謎めいた言葉の
ひとつや
ふたつ

もどかしい仕草の
みっつや
よっつ


わたしは恋に不慣れなもので
五万の毒を盛るかも
知れません

けれど
百戦錬磨のあなたのこと
上手く分別なさって下さい

良薬は口に苦し、と云いますものね


嵐も
月夜も
ものがたり
雀も真珠も絵巻物

散らした熱に
映える、あなたです
とどまるあなたを慕いつつ

どうか
くちづけを
数えたりしないで下さい

つまるところ、
なみだの受け皿は
わたしだけなのですから

そら、おやすみなさい

看病の
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