■批評祭参加作品■ピラミッドは三角か?/岡部淳太郎
 
判も含まれるが、それは決して批判のための批判ではなく、作者とその作品、もっと大きく言えば詩という表現形式全体にとって有意義だと信じるがゆえの批判なのである。「批評」という言葉が高踏的に感じられるのならば、単なる「鑑賞」でも良い。作品は作者とは異なる他者の視点にさらされることによって、よりいっそう輝きを増していくのだ。

 さて、ある作者がつくり上げたピラミッド(作品)は、果たして三角形をしているだろうか。ピラミッドの建造者である作者は、口をつぐんで自らが生み出した建造物に感嘆する人々を眺めるが良い。あなたのつくり上げたピラミッドは、三角でもあれば四角でもある。ピラミッドはただ大きな謎として、それを鑑賞する人々の前に静かに聳え立っているのだ。



(二〇〇六年十二月)
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