きれいなひと/湾鶴
 


顔が埋めこまれるような パック
洗い流して・・・ 
化粧水 ぱちゃぱちゃ。

「充分、きれいな肌じゃないか。」
そう なげかけた言葉も
乳液ぷちゃぷちゃに つぶされ

「おい、まっちゃんのテレビ始まるよー。」
そう 独り言のようになってしまった言葉も
顔筋マッサージによって 揉み消された

うつくしいひとは
きれいになろうと必死で
わかるけど やっぱり僕は
早くドライヤーで髪を乾かして
こっちに来て欲しいな の意味を込めて
足の爪を切り始めた



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