セピア/ラプンツエル
 
引き出しに眠っていたのは
あの頃の思い出
形にしないと眠れない
だから残した一枚の写真

写真の奥は輝いていた
繋いだ手は離れていなかった

セピア色に劣化していく写真を見つけたのは
長い恋が劣化した後だった

形にしても眠れない
あの頃の思い出にはなってくれない
弱虫の自分を弱くする

セピア色はどんな色?
彼はいった
「夕日に近い」

夕日に近い
もう終わりゆく橙の光

朝日はまだ昇らない


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