ゆきおんな/千波 一也
 

優しさの
定義の途中で
悲しい君を抱き締めた

何度も何度も
抱き締めた


 放熱温度は数千
 おそらく加護には不向きな温度

 僕は何もかもの途中だった


汗をにじませていたのは
快楽のつめたさ
いまなら、
わかる

気づかれないよう震える僕に
あの日の君が溶けてゆく


 どんなに
 真っ白な雪が降ったとしても
 あたらしいものとは思えない
 ふるいもの、とも
 呼べないだろう

 あれからながく
 いまから、
 ずっと


たたずむ木立はさながら炎

動き続けてゆく真冬に
どこまで吐息は痛むだろうか




戻る   Point(14)