ヒッキーの流れる街/umineko
街にヒッキーが流れている
濡れた声で
あの頃の私が流れていて
きっとそれは
今よりずっとあがいていて
やるせない想いに満ちていて
それはいくつかの事象だったり
たったひとりのことだったり
あなたはやさしかったけど
あなたが私を好きかどうかは
どうしてもよくわからなくって
そんなこと どうでもいいよって
顔をするだけは
ずいぶん得意で
私はことばが欲しかったんじゃない
身体を許せば
なんだかずいぶん星が近くに来るような
そんな気にもなれるけど
最初だけだ
自分の中の確信を
確かめるすべのない不毛な足跡を
やさしいものは嘘だと思う
うさぎを見
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