不寝番?みずの瞑り  デッサン/前田ふむふむ
 
り返しながら。
分娩と堕胎を繰り返しながら。

       3

不寝番が、ふかい森のみずの始まりを、
たえず見つめている、
    眼を瞑りながら、
森のみどりを見つめている、
  言葉の廃墟のなかから、火をたぐり寄せるように。
おもみを増した森の迷路を抜けると、
終わりの岸に出会う。
そこを、越えれば、懐かしい森の岸がせりだす。
湧きつづけるみずの声。
遠いつぶやき。

わたしは、精妙なみずのにおいを、ふりわける。

不寝番は、閉じた眼をあけると、
子供たちの世界が、冬のみずきれを、
はぎれよく、広げている、
抒情の砂漠を泳いでいるのが見える。

   わたしは、ふたたび、眼を瞑って。


 

 



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