新年早々の話/吉田ぐんじょう
帰り道
巨人が追いかけてくるので困った
新年早々
巨人に追いかけられるとは
何と因果なことであろうか
先が思いやられる
とりあえず
通りがかった神社に入って
巨人が通り過ぎるのを待った
背後でどしんどしんと
色々なものが倒れてゆく音が聞こえたが
世界の終わりとか滅亡とかこわいとか
そういうことは一切思いつかなかった
そういうことは1999年に考え尽くしてしまったのだ
さて
折角神社に入ったのだからお参りでもするか
と思い
賽銭箱の前に進み出た
生憎とポッケットの中には
サクマドロップスの缶しかなかったので
嫌いな薄荷ドロップを中心に
五つばかり
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