降るコブタ/
望月 ゆき
もう どうにもならないと判り
前にも後ろにもすすめずに
つり橋の真ん中で たちどまっていた
ここまで来ただけでも いいんじゃない、と
きっと 誰もが口をそろえる
けれど そんなことはどうでもいい
呆然としていたら
下から風が吹いてきて
つり橋が揺れ ハッと我にかえった
どうしたものかと思って
空を見上げたら
雲の間から たくさんのコブタが降ってきて
ぼくは
ちょっと 笑ってしまった
笑ってしまったんだ
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