姫と王子/蒸発王
 
むかしむかし

   
(少し長く眠りたいんだ)


めでたしめでたしにはなりません



『姫君と王子』



その日の姫君は
黒いシックな
ショートドレスに
本と紅茶を持って

(こんにちは また来ました)

王子の病室を訪れた



※※※


勇敢にも魔王に立ち向かった王子は
捨て身の攻撃で魔王を倒し
共倒れという形で
戦争は終わった

王子の戦いは
美談として
国旗として

掲げられた

しかし


死は許されなかった


王子の両目は潰されて
左手をもぎ取られ
最後に両足を吹っ飛ばされた

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