車椅子の彼/ごまたれ
 
彼は
あたしが寝た頃にいつも電話をしてくる
きっと
人が一番寂しくなるような時間に

事故からまだ半年
彼はよく将来のことを話す
そして吐き捨てるように過去を話す
あたしに脅しかけるように
自分のもう動かない下半身の話をする
やがて落ち着いた声になり
動かなくなってきている左半身のことを話す

最後にはいつも
「俺、お前なんかいなくてもモテるからよ」
って笑う

彼は
あたしが寝た頃にいつも電話してくる
きっと
人が一番不安になるような時間に

彼は
事故から半年たらずで
車椅子のバスケを始めた

サイトにアップされた自分の写真を
電話越しに見
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