ノート(道化)/
木立 悟
道化のまわりに
積み重なる吸殻
泣けないもの
くすぶるもの
二から三へと流れる指先
後ろ手に札を隠し持つとき
風は冷たい
はためくテントの継ぎめから来る
目覚めたばかりの細い光が
見る間に分かれ 分かれつづけて
羽のようにまたたきはじめる
誰もいない
自分もいない
声と拍手に照らされて
道化は光になってゆく
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