ノート(道化)/木立 悟
 

道化のまわりに
積み重なる吸殻
泣けないもの
くすぶるもの


二から三へと流れる指先
後ろ手に札を隠し持つとき
風は冷たい


はためくテントの継ぎめから来る
目覚めたばかりの細い光が
見る間に分かれ 分かれつづけて
羽のようにまたたきはじめる


誰もいない
自分もいない
声と拍手に照らされて
道化は光になってゆく


[グループ]
戻る   Point(3)