伊勢丹で朝食を/虹村 凌
本当なら君といたい一緒に
煎餅布団の中で
君の背中の後ろ
勝手に約束してる
今度生まれた時の事を
みんなが知ってるつもりの
ほんとうのこと
強がってた俺が泣いてる
みんなが帰った後
お煮染めの匂いの中
君と歩くは祭りか修行か
手も掴めずに先を歩く
袖を一瞬だけ引っ張るその手を
掴み返せずに
思う
座椅子になりたい
座椅子になりたい
一秒だけでも長生きする
君よりも必ず一秒以上
そうしてすぐに追いかける
訪れる朝に
何の前触れも無く昇る朝日に
アウトオブロマンチカ
何も覚えていない君と
覚えてばかりいる僕の
遠い遠いカサブランカ
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