もしも/はるこ
 
もしも、もしもおじいさんが現れて
「あの頃」に連れて行ってくれるというなら。
僕は一緒に行くのだろうか。


別に、「あの頃」に囚われて今があるわけじゃない。
そんなつもりで生きてるわけじゃない。少なくとも今は。
だけど、夢から覚めたとき。空を眺めたとき。音楽を聴いてるとき。
ふっと、突然襲う「あの頃」の思い出。

今が幸せじゃないわけじゃない。
君がいないことで満たされない思いは
「あの頃」の延長線上でちゃんと消化した。
君がいなくてももう今の僕は平気なんだ。平気なんだよ。でも。やっぱり。


君がくれた笑顔。君がくれた僕を呼ぶ声。
君をまとうものが「あの頃」の
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