灯火ときままな風/九谷夏紀
 
12月25日の灯火を持って
私は再び屋外に出た。
北風、南風、西風、東風。
自由きままに吹く風に身をさらして
この灯火をそれとなくてのひらで守りながら
私は前へ進むのだ。


12月25日
私はひとり灯火を持って吹きさらしの屋外にいた。
11月に生まれたこの火は
この日灯火となった。
風に消してもらおう。
私ひとりで持っているものではないし
私ひとりで消すものでもないから。
だけどこの日は風もなく穏やかな日で
灯火と微笑み合って日が暮れた。


12月26日
気まぐれな風がもたらした便りを
私は大事に抱えて部屋に閉じこもった。
いまにも消えてしまいそうな
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