都会/
たもつ
帽子を覗くと
中には都会があった
かぶることも出来ないので
しばらく眺めることにした
頬杖なんてしたのは
いつ以来のことだろう
自分にも重さがあったのだと少し驚く
風変わりな光景があるわけでもなく
淡々と同じような風が吹いてる
誰かが誰かを探す音が聞こえる
こんなに小さな都会なのに
人の命が間違われているのだ
帽子のことは諦めて
むかし諦めたことを
思い出してみる
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