2006年大晦/あおば
突然、
人間なんてららーらーららららーらー♪
と
フォーラムの
みんなが歌いだしたもんだから
あたまの中の空気は凍りつき
ザクザクと行進する
軍靴の音が響いてきた
かけがえのない
愛する御国のために
学問を捨て
街にも立ち寄らず
戦争に行くのです
そぼ降る雨の中を
38式歩兵銃を肩に
ひ弱そうな大学生達が練兵場を行進している縦筋の雨の降る映像を羨ましい思いで眺めていた私の親父は大学にも行けなくて戦争が終わったときでも依然として兵卒のままで伍長にもなれず
戦争が終わっても
立派な人に誰何されると
敬礼をしたまま微動もせずに
まっすぐに前を見て
自分はどこそこの
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