冬ざれの唄/信天翁
 
気象予報士があすは初雪がちらつくでしょう という
   案の定 夜になって狂いはじめた もがりぶえ
                (野良猫の気配か)
          近所の飼い犬が吠えたてている
                (冬将軍の観閲か)
     歯周炎の臼歯が 亀背の肩が 疼きだした
       あゝ 老いをゆするシャドーにおびえ
         たれかさんはすっかり忘れている
           <星>の暗号と<蛍>のひかりを
       庭の裸木に笑われてることもしらずに


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