三日月、波の背中に/
たりぽん(大理 奔)
ためらい傷
みたいな三日月
彼方で雲の風紋
ついやされる言葉
私という
熱を届けるため
無数の
海に降る雪
水平線をかき消し
どこにもつもることもなく
舞い落ちる
ただ
誰かの言葉のように
後ろすがたのかげ
まぶたに消して
それらが届く果ての夢
を見る
どんな声でもない
どんな声でもある
つもることなく
波に降りしきる雪
凍える先の微熱
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