きんいろの自由へ/銀猫
 
一握りの気まま、は
自由と呼ばない

不自由から逃れて
背中の羽根を伸ばしても
きっと名前が違うだろう

いくばくの束縛から逃れた、
小鳥のようなあなたは
一粒の木の実さえ
探し求める不自由を
解放と呼びながら
そうして
籠のなかでうたっていた囀りを
忘れ始めている


うつくしい声は
それはささやかな風のようだった
眠りは春の夢のようだった

あなたのことで
こころに風が吹くのは
自由と呼べないか

空の広さは誰もが違って
狭い窓から覗く青にも
うたは聞こえないか


わたしは飛ばない
きんいろの世界は
目蓋の内側に
ほら
こんなに染みている



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