ピアノのコビト/あおば
 
が泣いている
走り出したセラミックスのスピーカー
薄い背中のコビト達
大きな声の持ち主と
喧嘩するほど強くない
風のコビトに殴られて
声も出せずに倒れてる
朝の光の振る道に
真一文字に寝かされて
冷たい冬の音楽を
身体の芯まで聞かされて
薄いからだが冷えてゆく
音楽聞いたら声を出せ
低い声も出せなくて
しわがれ声で文字を読む
緑のコビトも殺された
ピアノのコビトが音にした。

過去形のはなしが終わり
緑のコビトが蘇り
薄いコビトが目を覚ます
薄い身体は冷えたまま
ピアノのコビトの音を聞く。
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