静かの先まで/恋月 ぴの
静かな湖面に
あなたとわたし
ふたりきり
いつもは感じ得なかった
あなたの男らしさを
ちょっと見直してみたりして
(フレアミニなら喜んでくれたかな
季節はずれの湖面に
あなたとわたし
ふたりきり
逞しそうな二の腕で操るオールの先に
これからを賭けてみたりして
背中で探る
行き先はどこなのかしら
艫に腰掛けたわたしには見えるけど
今は教えてあげない
儀式のようで
レッスンのようで
もしかしたらおままごとにも似ていて
瓢箪のようなかたちをした湖に
あなたとわたし
ふたりきり
(ずるして後ろは見ないでよ
舳先で切り裂いた静けさが渦を巻いて
これからどうする気なのかしら
艫に腰掛けたわたしには見えるけど
今は教えてあげない
あなたとわたし
ふたりの未来
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