大人になる/
さくらほ
ら走り続けてきたのに
確かに私はいたか
あの頃の私は今の私とちゃんと繋がっているか
奪われたもの
満たしてゆくもの
季節は繰り返すけれど
同じ日々はどれだけ探してもみつからない
間違い探しのように
ちょっとずつ違っている
煙草の吸殻の落ちた路上禁煙地区を
くるくると色とりどりの落ち葉が揺れる
乾いた空気が三時の光と共に
少し重たげな付点四分音符になって
私を通り過ぎる
また一つ
季節は私を捉えた
戻る
編
削
Point
(17)