「 ぼくらは毎日こわれてゆく。 」/PULL.
 






こんなたとえ話から、
はじめてみます。


ぼくは毎日こわれています。

それは、
九十八マイルの速球を投げた、
松坂大輔の肩が、
一球ずつ壊れてゆくように。
またそれは、
鮮やかなエラシコを魅せる、
ロナウジーニョの足が、
一試合ずつ壊れてゆくように。

ぼくは毎日こわれていってます。

テレビに映る彼が、
美しいと口にする度に、
日本がこわれてゆくように。
白いお家の彼が、
平和を口にする度に、
地球がこわれてゆくように。

ぼくは毎日こわれてゆきます。

.
こうしてキーを、
一文字打つ度に、
ぼくの中の言葉は
[次のページ]
戻る   Point(7)