占め子の兎/あおば
 
招き猫が嫁に行った
注文の多い小料理屋には
微笑みも衒いも無くなり
自然
お客の足も遠のいて
入り浸りだった
どこぞの
ペルシャも
シャムも
来なくなった

閑古鳥を捕まえに
やってくるのは
藪医者のところの
偏屈な窯猫の斑と
英語塾の
珍野苦沙弥先生が大嫌いな
ヤンキーな
クルマ屋のトラだけで
どこで聞きかじったのか
シュークリームが載っかった
ピーターパンを焼いてくれと無理をせがむ
せがむのはもちろん斑の方で
トラは肩を怒らせて目にものを言わせるという案配
巫山戯た奴等だが
こちとらも気が弱いとはいえ
元ご直参の若様の後見猫のつもり
町人風
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