閑山の寒/Rin K
 


根雪というも、いずれは川になる
姿は消ゆれども
解き放たれる
いずれは川になる
根雪  去ったあとから芽吹く、新芽に
何かを告げることさえ請いもしない

落ち葉はいずれ母になる
かつて自らがそうであったような
あざやかな緑をはぐくむために
濡れて、砕かれて、いずれは土に
還ってゆくのだという、さだめ
知らぬわけでもなかろうに
この冴えきった空気のなかでは
朽ちるということには触れもしない

山は寡黙だ

死ぬということを、ひとは
いともたやすく口にする

季節の巡りに

ひとは、死ぬということを
いともたやすく忘れゆく



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