中央線/P.B.
 
かっているという
私はウィスキーを彼女に差し出す
彼女は静かに首を振り、大きな涙をこぼした
私は飲み続ける

***

いつの間にか眠ってしまっていた
目覚めると電車の中だった
窓には美しい夕暮れが映っている

朝、西荻窪で乗り込んでくるちょっときれいな女性が泣いている
私は声をかけてみる
「どうしたんですか?」
彼女はしっとりと私を見つめる

私はその視線を確かに受け止めながらも
未来を支配する巨大な喪失感を感じる
私はこの先、かけがえのないものを失ってしまうのだろうと直感する




ただ小さな窓が、やたらと高い空を映していた
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